泳動結果
HeLa 細胞において,Ser/Thr phosphatase 阻害剤のcalyclinA処理前後の
細胞内タンパク質のリン酸化状態nの違いを,
蛍光二次元ディファレンシャル電気泳動
(SDS-PAGE/Zn2+–Phos-tag SDS-PAGE)で調べています。
calyclinA処理によって,細胞内タンパク質の多くがハイパーリン酸化します。
この時の細胞タンパク質をCy5(緑色)で標識します。
一方,何も処理しない場合の細胞タンパク質をCy3(ピンク色)で標識します。
両者を混合し,SDS-PAGE を行います。
そのゲルのレーンを切り取り,二次元目のZn2+–Phos-tag SDS-PAGEを行います。
両サンプルに含まれるタンパク質で,同じ位置に泳動されるものは
重なって白色に見えます。
リン酸化していないタンパク質は,概ねゲルの対角線上に並びます。
ただし,リン酸化にかかわらず,Phos-tagとタンパク質の相互作用があり
それはタンパク質ごとに異なるので,完全に対角線上には乗りません。
リン酸化しているタンパク質のスポットは,
その対角線から外れてシフトアップします。
ここで,とりわけ興味深いのが,図中に1〜6の番号で指したタンパク質です。
calyclinA処理によって,緑のスポットが上方に複数シフトアップしています。
ゲルからスポットを切り抜き,質量分析で解析したところ,
1= histone H3
2
= keratin18
3= keratin 8
4= vimentin
5=laminA/C
6=elongation factor 2
とわかりました。